犬の分離不安症とは?症状・原因・行動療法による改善方法をわかりやすく解説
テレビを見ながら抱っこして、同じ布団で寝る。家の中を歩けばちょこちょこと後ろをついてきて、常に飼い主の行動を目で追う愛犬。こんなにかわいい、愛らしい存在はほかにいないと、なんとも言えない幸福感に満たされます。
近年、共働き世帯の増加や在宅勤務の普及により、1日中愛犬と過ごす飼い主も増えています。その一方で「犬の分離不安」も間違いなく増加しています。
この記事では、犬の分離不安症の症状・原因・改善方法について、実体験を交えてわかりやすくお伝えします。

分離不安症とは
分離不安症は「不安障害」の一つです。毎日ずっと一緒に過ごせると思っていた飼い主が突然出かけてしまったことで、愛犬は飼い主と離れて過ごすことへの不安をストレスとして抱え、心身に不調をきたしている状態です。
留守番中だけでなく、飼い主が在宅している時にも症状が出ることがあります。
犬にとっての1時間は人間の4時間ほどに感じられると言われています。つまり飼い主が10時間外出した場合、愛犬は40時間以上にも感じている計算になります。大好きな飼い主が丸1日以上帰ってこないと感じたら、不安にならないはずがないのです。
分離不安症のチェックリスト
以下の症状に当てはまる場合、分離不安症の可能性があります。
留守番中の症状
- 下痢・嘔吐など胃腸の不調が目立つ
- 食欲がない(フード入れのフードが減っていない)
- 部屋が荒れている・物が壊れている
- トイレ以外の場所に排泄がある
- 自分の足や尻尾を噛むなどの自傷行為が見られる
- 留守中に吠え続けている
飼い主在宅時・帰宅時の症状
- 帰宅時に嬉しさから排泄してしまう(嬉ション)
- 常に飼い主のあとをついて歩く
- 飼い主の姿が見えなくなるとパニックになる(お風呂やトイレなど)
- 飼い主が外出の準備を始めると落ち着かなくなる

分離不安症の原因
分離不安になりやすい環境を人間が作ってしまっている可能性もあります。以下のような経験はないでしょうか。
- 保護犬である
- 子犬の頃に長時間の留守番を経験させたことがある
- 多頭飼いや常に誰かが在宅する環境で育った
- 留守番中に雷や地震など恐怖体験をしたことがある
- 飼い主が数日帰らず、1匹で過ごした経験がある
- 引っ越しにより生活環境が大きく変化した
- 飼い主の就職・進学などで在宅時間が変わった
- ペットホテルに預けたことがある
- 飼い主の家族構成が変わった(結婚・出産など)
- 加齢や病気がある
これらを経験しても分離不安にならない愛犬もいます。経験したからといって必ず分離不安になるわけではありませんが、思い当たる項目がある場合は注意が必要です。
分離不安症を改善する方法
まずは動物病院へ相談する
分離不安症を改善するには、動物病院の獣医師への相談が不可欠です。ペットカメラなどを使用して留守番中の様子を記録しておくと、状態を説明する際にとても役立ちます。
行動療法
まず提案されることが多いのは投薬を行わない「行動療法」です。
愛犬は飼い主が外出する前のルーティーンをしっかりと見て覚えています。例えばコートを着て、鍵を持ち、玄関で靴を履くという一連の流れで「出かけるサイン」と認識しています。
行動療法の具体的な方法
- ルーティーンを崩す:コートを着ても出かけない時もある、と覚えてもらう
- 短時間の外出を繰り返す:靴を履いて出かけても1分で戻ってくる=出かけてもずっと留守番とは限らないと学ばせる
- 留守番中の環境を整える:小さな電気をつけたまま外出したり、愛犬がリラックスできる音楽をかけたりと、無音の状態にしないことが効果的です。YouTubeにも愛犬の分離不安を和らげる専用の音楽チャンネルがあります
- 在宅中のべったりな関係を見直す:愛犬が甘えに来た時にあえて無視をして、落ち着いて自分の場所に戻ったらかまってあげる
- 出かける際の声かけをやめる:「行ってきます、いい子に待っててね」の一言で愛犬の寂しさスイッチが入ります。いつの間にかそっと出かけるようにしましょう
行動療法を始めたからといって急激な改善は期待できません。分離不安の改善は根気強く時間をかけて行う必要があります。
投薬療法・サプリメント
行動療法で改善が見られない場合は精神安定剤を使用する投薬療法を試みることになります。雷や花火の音でパニックになる愛犬にも使用されることがあります。薬で精神を落ち着かせる療法です。
愛犬に精神安定剤を使用することに抵抗を感じる飼い主には、愛犬用サプリメントを試してみることも一つの選択肢です。国内外の様々な商品がネットで比較的安価に入手できます。
分離不安症に完治はない
人間の精神障害が治りにくいのと同様、犬の分離不安症も完治することはなかなかありません。様々な方法で改善が見られても、また何かきっかけがあれば一気にスタート地点に戻されることも珍しくありません。
愛犬をわが子のように愛でる気持ちは理解できますが、その結果として愛犬が苦しい思いをする可能性もあることを忘れてはなりません。分離不安症の治療は簡単ではなく、3歩進んで2歩下がるような長い道のりになります。
つらいのは飼い主だけでなく、最も頑張らなければならないのは愛犬自身です。そうならないためにも、愛犬との距離感を日頃から見直しておくことが大切です。
まとめ:愛犬の分離不安症に気づくために
この記事のポイント
- 分離不安症は留守番中だけでなく飼い主の在宅中にも症状が出ることがある
- 犬の時間感覚は人間の約4倍とされており、10時間の外出が40時間以上に感じられる
- 行動療法では外出ルーティーンの崩し・短時間外出の繰り返し・留守番環境の改善が有効
- 出かける際の声かけはかえって不安を高めるため避けたほうがよい
- 改善には長い時間と根気が必要で、完治は難しいと理解した上で取り組む
- 症状が気になる場合は早めに動物病院の獣医師に相談する
愛犬との距離感を大切にしながら、お互いが幸せに過ごせる関係を築いていきましょう。ご覧いただきありがとうございました。