小型犬が室内で覚えられるかわいい芸6選|雨の日も楽しく遊べるドッグトリックの具体的な教え方とコツ
愛犬がお座りやお手ができるようになったら、次にチャレンジしてみたいのが「かわいい芸(ドッグトリック)」です。芸と聞くと、「見せびらかすためのもので、しつけには関係ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、プロのドッグトレーナーから見ると、トリックトレーニングは単なるパフォーマンスではありません。室内で過ごす時間が長いチワワやトイプードル、ポメラニアンなどの小型犬にとって、頭を使って新しい行動を学習することは、極上の「頭の体操(メンタル・スティミュレーション)」になります。雨の日や夏の暑い日など、外へ十分に散歩に行けない時の運動不足やストレスの解消に最適ですし、何より飼い主さんと愛犬が一緒に楽しむことで、信頼関係が劇的に深まります。今回は、室内でスペースを取らずに教えられる、見た目も抜群に愛らしい6つの芸について、具体的な教え方のステップと成功の秘訣を徹底的に詳しく解説します。

この記事内容
1. 「タッチ(ハイタッチ)」:前足でペタッと触る愛らしい芸
「タッチ」は、飼い主さんが差し出した手のひらに、愛犬が前足をペタッと乗せる芸です。基本の「お手」に似ていますが、お手よりも高い位置で手のひらを縦に差し出すため、まるで人間同士が挨拶をしているかのような可愛らしい見た目になります。この芸をおすすめする最大の理由は、犬が「飼い主の手」に対して良い印象を持つようになり、手への恐怖心をなくすことができる点です。
教え方の具体的なステップは以下の通りです。
- おやつを一つ握り込み、愛犬の鼻先の前に手のひらを見せるようにして差し出します。
- 犬が「何だろう?」と興味を持って、手のひらに鼻先や前足を少しでも触れさせたら、その瞬間に「そう!」と褒めて、握っていたおやつを与えます。最初は鼻先が触れるだけでも構いません。
- 手のひらに触るとおやつがもらえると理解したら、今度は手の位置を少しずつ高くしていきます。犬が前足を持ち上げて、手のひらにペタッと触るように誘導します。
- 前足を乗せる行動がスムーズにできるようになったら、手を差し出す瞬間に「タッチ」または「タッチして」と言葉の合図(コマンド)を添えます。
【つまずき対策】
もし愛犬が手を差し出しても無視する場合は、手のひらにおやつの匂いを強くこすりつけておくか、おやつを指の間に少し挟んだ状態で見せてみましょう。犬の「触りたい」という好奇心を刺激するのがポイントです。
2. 「アゴ」:手のひらにアゴを乗せる究極の癒やし系トリック
「アゴ(またはアゴ乗せ)」は、飼い主さんが平らに差し出した手のひらの上に、犬が自分のアゴをちょこんと乗せて上目遣いで見つめてくる、SNSなどでも非常に人気が高い癒やし系の芸です。この芸は愛らしいだけでなく、日常のお手入れ(目ヤニ取りや涙やけのケア、顔周りのブラッシング)の際にも、犬がじっとしていられるようにするための実用的なしつけとしても非常に役立ちます。
教え方の具体的なステップは以下の通りです。
- 愛犬をお座りか伏せの姿勢にさせます。
- 片方の手におやつを持ち、もう片方の手を平らにして、犬のアゴの少し下の位置に差し出します。
- おやつを持った手を、差し出した手のひらの上(犬から見て奥側)に移動させ、犬がおやつを食べようと顔を前に伸ばしたときに、自然とアゴが差し出した手の上に乗るように誘導します。
- アゴが手のひらに触れた瞬間、すぐに「アゴ」と言葉をかけ、持っているおやつを与えて褒めちぎります。
- 最初は一瞬アゴが乗るだけで合格とし、徐々に乗せている時間を「1秒」「2秒」「3秒」と伸ばしていきます。
【つまずき対策】
アゴを乗せるのを嫌がって顔を引っ込めてしまう場合は、差し出す手の位置が高すぎるか、グイグイとアゴを触りに行きすぎている可能性があります。手はあくまで「静止したお皿」のように構え、犬が自分から顔を乗せてくるように低めの位置から優しく始めてください。

3. 「スピン(くるくる)」:その場でくるっと回るアジリティ入門
「スピン(またはターン)」は、犬がその場で時計回り(または反時計回り)にくるっと1周自転する芸です。非常に華やかで活発な印象を与えるトリックで、ドッグダンスやアジリティの基礎運動としてもよく取り入れられます。室内という狭い空間でも、全身の筋肉をしっかりと動かすことができるため、愛犬の体を柔軟にし、軽い運動不足を解消する効果もあります。
教え方の具体的なステップは以下の通りです。
- おやつを1粒指先につまみ、愛犬の鼻先の前に持っていきます。
- おやつの匂いを嗅がせながら、犬の頭が自分の体の後ろを追いかけるように、ゆっくりと円を描くように手を動かします。右回りに回らせたい場合は、犬の右側からお尻の方へ向けて手を大きく回します。
- 犬がおやつを追いかけて、その場でくるりと1周まわったら、回りきった瞬間に「スピン」と言葉をかけ、すぐにおやつを与えます。
- 回る動作が理解できたら、手の動き(ハンドサイン)を徐々に小さくし、最終的には「スピン」という言葉と、指先で小さく円を描くジェスチャーだけで回るように訓練していきます。
【つまずき対策】
途中で回るのをやめて座り込んでしまう場合は、手の動かし方が早すぎるか、円が大きすぎて犬がついていけていないサインです。犬の首が無理なく曲がるスピードに合わせて、ゆっくりと鼻先をおやつで磁石のように吸い付けるイメージで誘導してください。また、右回りと左回りで犬にも「得意な方向」があるため、最初は回りやすそうな方向だけで練習しましょう。
4. 「バーン(ごろん)」:撃ち抜かれて倒れる定番の演技派芸
飼い主さんが指でピストルの形を作り、「バーン!」と声をかけると、犬がバタリと横倒しになって死んだふり(ゴロン)をする、とてもユーモラスで人気のある演技派の芸です。この芸を覚えるためには、犬が自発的にお腹や脇腹を床につけて無防備な状態になる必要があります。そのため、飼い主さんに対して「心から安心している・信頼している」ことの証明にもなります。また、この姿勢は動物病院でのエコー検査や、爪切り、お腹のお手入れ時にも非常に重宝します。
教え方の具体的なステップは以下の通りです。
- まず、愛犬を「伏せ」の状態にさせます。伏せが安定してできる状態からスタートするのが近道です。
- おやつを握った手を犬の鼻先に持っていき、そこから耳の後ろ、そして首元から肩の方向へ向かって、半円を描くようにゆっくりと手を移動させます。
- 犬がおやつを目で追おうとして、自然と頭を後ろに傾け、重心が崩れてコロンと横倒し(脇腹を床につける状態)になるように誘導します。
- 完全に体が横向きになり、力抜けて倒れた瞬間に「バーン」と言葉をかけ、おやつを与えて大げさに褒めます。
- 横倒しが安定したら、倒れた状態を数秒キープする練習をし、起き上がって良い合図(「よし」など)を出してからご褒美をあげるようにします。
【つまずき対策】
お腹を見せる(横倒しになる)のは、犬にとって非常に無防備で警戒しやすい姿勢です。怖がってどうしても体を固くしてしまう場合は、絶対に無理強いせず、少しでも体が傾いたらおやつをあげる、という小さなステップから始めてください。滑りやすいフローリングの上ではなく、滑りにくく柔らかいヨガマットやカーペットの上で行うと、犬も安心してコロンとしやすくなります。
5. 「ベル鳴らし」:前足でチン!と鳴らす賢いトリック
お店の受付などにおいてあるコールベル(卓上ベル)を、犬が前足で「チン!」と鳴らす芸です。「こんなことまでできるの?」と周囲を驚かせることができる非常にスマートなトリックです。犬にとっても、自分の行動によって音が鳴り、その結果ご褒美がもらえるという「原因と結果」の学習になり、知的な欲求を非常に満たしてくれるクリエイティブな遊びになります。
教え方の具体的なステップは以下の通りです。
- まずはベルに興味を持たせることから始めます。床に置いたベルのボタンの上に、小さなおやつを直接置きます。
- 犬がおやつを食べようとして口や前足がベルに触れ、偶然でも「チーン」と音が鳴ったら、すかさず「そう!」と褒めて、手からも追加のおやつを与えます。これを繰り返し、「この金属の物体を触ると音が鳴り、いいことが起きる」と理解させます。
- 次に、おやつをボタンの上に置かず、ベルの前に愛犬を座らせます。犬が「どうすればおやつがもらえるかな?」と考えて、前足でベルを叩こうとしたら、触った瞬間に大げさに褒めます。
- 前足で確実にベルを押して鳴らせるようになったら、動作の直前に「ベル」や「チンして」と言葉の合図を添えます。
【つまずき対策】
音が鳴ることを怖がる怖がりなワンちゃんの場合は、最初はベルの底にテープを貼ったり、柔らかい布の上に置くなどして、音が小さく優しく鳴るように工夫してあげてください。また、ベルを足で押すのではなく噛んでおもちゃにしてしまう場合は、一度ベルを隠し、落ち着いてから「前足で触る」行動だけを細かく褒めるように軌道修正しましょう。
6. 「ハイファイブ」:飼い主の手のひらと息を合わせる瞬間
「ハイファイブ」は、いわゆる「ハイタッチ」の発展系で、飼い主さんが頭の上に掲げた片手(あるいは両手)に対して、犬が立ち上がるような姿勢で両前足、あるいは片足を高く上げて「パチン」と合わせる芸です。息がぴったり合っているように見えるため、ドッグトリックの中でも特にアクティブで元気な印象を与えることができます。
教え方の具体的なステップは以下の通りです。
- すでに覚えている「タッチ」の応用として練習します。まず犬をお座りさせます。
- いつもより少し高めの位置(犬の頭の高さ程度)に、手のひらを下に向けて差し出します。
- 犬が「タッチ」をしようと少し背伸びをして前足を伸ばし、手のひらにタッチできたら「そう!」と褒めておやつをあげます。
- 徐々に手のひらの高さを上げていき、犬が後ろ足で少し立ち上がるような姿勢になって前足でタッチするように誘導します。
- タッチが成功した瞬間に「ハイファイブ!」と声をかけ、ご褒美を与えます。両手で行う「ダブル・ハイファイブ」にする場合は、飼い主さんも両手を広げて待ち構え、両足でタッチさせます。
【つまずき対策】
腰や膝に負担がかかりやすいため、特にトイプードルやポメラニアン、ダックスフントなどの関節がデリケートな小型犬に行う際は、後ろ足だけで長時間立たせるような無理な高さにはしないでください。愛犬が安全に、軽く前足を伸ばせる程度の適切な高さで楽しむことが、健康維持の面でも大切です。
7. プロが教える!トリックトレーニング成功のための「3つの鉄則」
ドッグトリックを教える上で、プロのドッグトレーナーが必ず守っている重要なルールを3つ紹介します。これらを守ることで、しつけのスピードが格段に上がり、愛犬にとっても幸せな時間になります。
トリックトレーニング成功の3つの鉄則
- 「1回3分〜5分」で終わらせる:犬の集中力は人間よりも非常に短いです。ダラダラと30分練習するよりも、集中力の高い3分間を1日に数回行う方が、学習効率は圧倒的に高くなります。
- 絶対に叱らない・失敗は無視する:芸は「遊び」です。思い通りにできなくてもイライラしたり叱ったりしてはいけません。できない時は「教え方のステップが大きすぎる」と捉え、失敗した行動は完全にスルーし、成功した時だけを徹底的に褒めます。
- 「もっとやりたい!」の段階でやめる:愛犬が「楽しい!もっとおやつが欲しい!」と目を輝かせているタイミングでその日のトレーニングを終了します。すると、犬の脳に「トレーニング=最高に楽しい遊び」としてインプットされ、次の練習の時のモチベーションが非常に高くなります。
8. まとめ:芸は愛犬との絆を深める「最高の対話」
ここまで、室内で簡単に教えられるかわいい芸と具体的なしつけの手順を紹介してきました。すべての芸に共通して言えるのは、大切なのは「芸が完璧にできること」そのものではないということです。トレーニングを通じて、愛犬が「どうすれば飼い主さんが喜んでくれるかな?」と考え、飼い主さんが「どう伝えればこの子にわかりやすいかな?」と工夫する、その双方向のコミュニケーションのプロセスこそが、何にも代えがたい宝物になります。芸が一つ成功するたびに、愛犬と一緒に大喜びし、美味しいおやつを分け合うことで、あなたの愛犬は「この人と一緒にいると、本当に楽しい!」と心の底から感じるようになるでしょう。ぜひ今日から、お部屋の中の小さなおやつを片手に、笑顔あふれるトリックトレーニングを楽しんでみてくださいね。
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