見落とさないで!犬の精神疾患5種の症状と対処法|常同行動・うつ病・分離不安・恐怖症・認知症を解説
近年、人と同じく犬の寿命も大幅に延びています。しかし犬は「痛い」「苦しい」と言葉で訴えることができません。飼い主が普段の様子をよく観察し、異変に気づいてあげる必要があります。特に見落とされやすいのが精神疾患と呼ばれる病気です。無駄吠えなどの問題行動が精神疾患から来ていることもあり、判断が難しい分野です。この記事では代表的な5種類の精神疾患とその対処法を解説します。

代表的な犬の精神疾患5種
症状が起きる原因や個体差によって現れ方は異なります。以下の5種類が代表的な精神疾患です。
@ 常同行動
同じ行動を繰り返してしまう疾患で、日常生活での不安や不満が原因となることが多いです。飼い主とふれ合う時間の減少・引っ越し・家族の増加といった生活環境の変化など、人と同じように愛犬もストレスを感じることがあります。同じ行動を繰り返すことで落ち着きを取り戻そうとしていると考えられています。
常同行動の主な例
- 自分の体の一部を舐める・噛む
- しっぽを追いかけてぐるぐる回る
- 誰もいないのに周囲をキョロキョロ確認する
A うつ病
原因は様々で特定することはできません。生活環境の大きな変化が関わっている場合もあれば、間違ったしつけや育て方による恐怖から精神を病んでしまうこともあります。また情の深さから飼い主との離別や死別で発症する場合もあります。
うつ病の主な例
- 睡眠時間の増加
- 挙動不審な行動
- ふれ合いを避ける
- 食欲減退
B 分離不安
飼い主やお気に入りのおもちゃ・ブランケットなどいつもそばにあるものから離れると不安を感じ、精神的・肉体的にさまざまな症状を引き起こしてしまうことがあります。常に飼い主と一緒にいる愛犬は少しの時間ひとりになるだけでも「置いて行かれた」「捨てられたかも」と感じることがあります。また留守中に雷や大きな騒音を経験した愛犬が、飼い主がいなくなるとまた同じことが起きると不安になるケースもあります。
分離不安の主な例
- 悲鳴のような声で鳴き続ける
- 下痢をする
- ティッシュやクッションの中綿を噛んで引っ張り出すなどの破壊行動をする
- 粗相をしてしまう
C 恐怖症
特定の対象や状況に恐怖を抱き、敏感に反応してしまう疾患です。ある恐怖体験がトラウマとなり、その後月日が経っても特定の状況でその恐怖が鮮明に蘇るPTSDと同様の状態です。しつけの名のもとに虐待に近い扱いを受けたり、雷・地震といった天災による恐怖体験から発症することがあります。
恐怖症の主な例
- 体が震えてしまう
- 粗相をする
- 落ち着きがなく動き回る
- 呼吸が浅くなる
D 認知症
医療の進歩とともに寿命が延びると、愛犬にも認知機能不全と呼ばれる症状が確認されるようになりました。しかし多くの飼い主は症状を老化のせいだと思い込み、発見が遅れてしまうことがあります。
認知症の主な例
- 名前を呼ばれても反応が薄い
- 行ったり来たりを繰り返す
- トイレではない場所で排泄してしまう
- かまってほしいアピールをしなくなる

各精神疾患の予防と対処法
どの精神疾患にも共通して言えることは、愛犬がなぜその行動をとっているのか原因を探ることです。
常同行動への対処
愛犬が極度のストレスを感じている可能性があります。しつけと言って必要以上にきつく叱っていないか、スキンシップは十分か、毎日散歩に行ってリフレッシュできる時間を作れているかを見直しましょう。ストレスが解消されれば症状の改善につながっていくでしょう。
うつ病への対処
自律神経の乱れが大きく影響するとされているため、自律神経を整える対策が効果的です。散歩で日光を浴びる時間を作る・おもちゃを使って運動させる・リンパマッサージでスキンシップを取るなどが有効です。
分離不安への対処
飼い主に依存しすぎている状態が問題です。愛犬が一人でいる時間を1日数分単位から作るようにして、問題がなければ徐々に時間を延ばしていくトレーニングが有効です。「待っていれば帰ってくる」と安心して過ごせるようになることが目的です。症状が悪化するようなら無理をせず動物病院の専門医に相談しましょう。
恐怖症への対処
恐怖の対象が特定の場所など避けられるものであれば避けることが賢明です。回避できない雷などの場合、症状が出てもなだめたり叱ったりするのは逆効果です。落ち着きを取り戻すのを待ちましょう。日頃から「まて」「おすわり」をトレーニングしておくと、恐怖の場面で飼い主へ意識を向けさせることができます。
認知症への対処
残念ながら認知症に対する効果的な特効薬はまだありません。しかしおやつが出てくる知育トイで遊んだり、運動をすることは良い刺激を与えるだけでなく正しい時間に眠るよう促す効果もあります。認知機能をサポートする療養食もあるため、獣医師に相談してみましょう。
まとめ:ストレス要因を減らして愛犬と健康な毎日を
この記事のポイント
- 精神疾患は見落とされやすい。問題行動の裏に精神疾患が隠れているケースがある
- 常同行動・うつ病はストレスや生活環境の変化が主な原因。スキンシップと散歩の見直しが有効
- 分離不安は依存からくる不安。少しずつ一人でいる時間を作るトレーニングが効果的
- 恐怖症は恐怖体験がトラウマになるケースも。症状が出ても叱らず落ち着くのを待つ
- 認知症は老化のせいと見過ごしやすい。知育トイや運動で脳への刺激を与える
- 日頃から愛犬とコミュニケーションをとり、わずかな変化に早い段階で気づくことが大切
精神疾患についての認識を少しでも持って日々愛犬と向き合いコミュニケーションをとることで、わずかな変化に早い段階で気づくきっかけになることを願っています。ご覧いただきありがとうございました。