心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)と闘った愛犬りおん

心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)と闘った愛犬りおん


 

我が家の自慢の愛犬、りおん

 

我が家には、生まれた時から病気知らずのとても可愛いチワワのりおんがいました。
食べることよりも散歩が大好きで、たとえ食べている途中でも、出掛けるチャンスがあれば食べ物をほっぽり出してドアまで飛んでくるような子でした。

 

そんなりおんが突然重大な病気におかされ、大好きな散歩も簡単には行けなくなってしまいました。
今回は、我が家の宝物である、愛犬りおんが頑張ってくれた2年間の闘病生活についてお話したいと思います。

 

 

11歳冬の健康診断

 

今まで、病気とは無縁で元気に過ごしていたのですが、シニア犬になってからは動物病院に勧められて、1年に1度健康診断を受けるようにしていました。
普段は、異常はありません。

 

この調子で過ごしてくださいね、と言われるだけなのですが、11歳の時に受けた健康診断では、今までとは異なる診断を受けました。

 

「心臓に雑音があります。」

 

心臓?
今まで元気に走ってた子が?これからも生きられるの?

 

突然の言葉に私は混乱し、絶句してしまいました。

 

その後、先生が丁寧に説明してくださり、まだ要観察段階で治療は不要であること、半年に1度検査をして進行していないか確認が必要なこと、ハードな運動はさせてはいけないことなどがわかりました。

 

左心房と左心室の間にある僧帽弁という弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気、心臓病の一種の

 

僧帽弁閉鎖不全症

 

の初期段階だそうです。
チワワなどの小型犬には多い病気で、進行のスピードにも個体差があると言う事も加えて教えていただきました。

 

心臓病というワードにショックを覚えましたが、今すぐどうにかなるわけではない、進行スピードが遅ければ問題ないのだと少しホッとしながら病院から帰宅しました。

 

それからというもの、病気が悪化することがないように先生の教えを守り、りおんを散歩に連れて行っても短時間で終わらせ、あまり興奮するようなことはさせないようにしていました。
特に問題なく過ごし、心臓病のことを忘れかけてきた頃に事件は起きました。

 

咳が止まらない?!

 

健康診断から3ヶ月が過ぎた頃、りおんがしばしば咳をするようになりました。
まず犬が咳をすることに驚き、風邪を疑いました。

 

部屋を暖かくするように心がけ、散歩も控えるようにし、栄養のあるものを食べさせるようにしました。
しかし、一向に良くならないのです。

 

それどころか、咳はどんどん悪くなる一方で、1日に何十回も出るようになりました。
慌てて病院に連れて行きましたが、特に悪いところは見つからず、心配していた心臓にも問題がないとの診断でした。

 

結局、かかりつけの病院に揃っている機材ではこれ以上調べようがないため、呼吸器科の専門病院を紹介してもらい、そこで検査を受けることになりました。

 

ワクチン接種と健康診断以外で病院に行ったことのないりおんが、専門病院に行くことになり、驚きと不安と混乱で頭がパンクしそうでした。
そしてついに、この専門病院で1ヶ月以上続いた咳の原因が発覚したのです。

 


 

予想外の展開

 

専門病院では、体を立体的に動画で見ることが出来る機械(空港のスーツケースチェックの画像のように透視化されます)を使って検査が行われました。
今まではレントゲンなど、2次元でしか分からなかった情報を3次元で見ることによって、より正確な臓器の位置や動きを把握出来る機械です。

 

その後、その検査結果次第で気管支の内視鏡検査を行う予定でした。
透視検査の結果を待っていると、先生が首をひねりながらやってきました。

 

「どうやら問題は、呼吸器にあるのではなく、心臓にありますよ。」

 

かかりつけの病院で、心臓には問題がないと言われたのになんで?
信じられない気持ちでいっぱいでした。

 

りおんの場合は通常のチワワよりも胸が平たく、レントゲンでは基準値内に見えたものも、その基準値はりおんには適応されないということが、透視検査により分かったというのです。

 

咳が出るのは、血液が逆流して肥大した心臓が気管支を刺激するからで、すでに1ヶ月以上そのままの状態でいたため、肺に水が溜まり始めているとのことでした。
また、診察してもらったのは呼吸器科の専門病院のためこれ以上の心臓の治療は、かかりつけ病院で行ってくださいと言われました。

 

最後に先生が残念そうな顔で、なるべく早く連れて行ってあげてください、と仰ったのでこれは只事ではないと感じました。
私たちは、専門病院から診断書を受け取り、そのままかかりつけの病院へ直行しました。

 

かかりつけ病院へ向かう途中、先に電話で症状を伝えようと診断書を見ると、そこには

 

「心原性肺水腫」

 

と書かれていました。
そのことを電話で伝えると、電話口の受付の方は到着時間が病院の休み時間に差し掛かるにも関わらず、すぐに先生を呼びます!

 

と言いました。
本当に深刻な状態なのだと改めて理解しました。

 

診断名、心原性肺水腫

 

専門病院からの診断書にあった、

 

「心原性肺水腫」

 

とは、肺から心臓に流れるはずの血液が、僧帽弁閉鎖不全症により心臓内の血液が空にならず肺に溜まっていく症状のことです。
肺水腫は急激に悪化するため、早急に治療を行わないと死に至ることがあります。

 

また、肺に血液が溜まると呼吸困難になり、とても苦しいそうです。
まさかりおんがそこまで悪くなって、苦しい思いをしているなんて、想像もしていなかったので、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

幸い、すぐに治療してもらったおかげで一命は取り留め、心臓も通常サイズに戻りましたが、1度肺水腫を起こしたため、心臓病の投薬をスタートすることになりました。
僧帽弁閉鎖不全症は外科手術を受けない限り完治することはなく、投薬によって進行を遅らせるしかないのです。

 

 

一難去ってまた一難

 

心臓病の投薬を始めてからのりおんは、咳も出なくなり、以前の元気を取り戻したようでした。
ご飯をよく食べ、よく遊び、よく寝る、薬を飲んでること以外は、健康そのものでした。

 

しかし、そんな可愛い我が家の愛犬にまたしても試練が訪れました。
なんと、また咳が出始めたのです。

 

すぐに病院に連れて行き、心臓をチェックしてもらいましたが何も問題はなし。
原因が分からずに、再び呼吸器の専門病院へ連れて行くことになりました。

 

もう2度と行くことは無いと思っていた病院にまた行くことになり、家族全員大落ち込みです。
今回は内視鏡検査もしてもらい、診断結果が明らかになりました。

 

今度は本当に呼吸器の病気でした。
何らかの影響で喉頭が腫れ、それが刺激になり咳が出るそうです。

 

しかもこの病気は1度なると治ることはなく、対処療法で症状を緩和させるしかないというのです。
やれることとしては、ネブライザーが効果的なのですが、喉の腫れを引かせる薬液には心臓病を悪化させる効果もあり、りおんには使用できないという絶望的な状況でした。

 

これからずっとりおんは咳を抱えながら生きていかなければいけないのです。
どうしてうちの愛犬が次から次へと辛い思いをしないといけないのかと、本当に病気が憎くてたまりませんでした。

 


 

 

愛犬の頑張り

 

呼吸器の病気になってからというもの、咳をして呼吸が荒くなり、余計に心臓が血液を送り出そうと負担が増えるため、せっかく安定していた心臓も、徐々に悪化していきました。
また、喉の疾患の影響か、慢性気管支炎も患ってしまい、りおんの肺機能も悪化していきました。

 

病院の先生からは、この状態であれば普通は生きていないと言われ、病院へ行く回数も徐々に増え、最終的には毎日2回、朝晩と通うようになっていました。
調子の良くない日は、夜中も咳がとまらず、苦しそうにしているところを何度も抱っこして落ち着かせることもありました。

 

それでもりおんは外に連れて行くと、短時間ではありますが、全身からの咳で弱ってしまった足をヨロヨロ動かしながら、それでも嬉しそうに土の匂いを嗅ぎながら散歩を楽しんでくれました。
夏には、かき氷を身を乗り出しながらシャクシャク美味しそうに食べて、まだまだ元気な姿を私たちに見せてくれました。
しかしついに、肺水腫を起こした日から約2年、りおんの一生は幕を閉じました。

 

直接の死因は、心臓病ではなく、末期の慢性気管支炎から来る呼吸困難でした。
これが、愛犬りおんの壮絶な闘病生活です。

 

誰よりも辛い思いをしていたのに、笑顔もたくさん見せてくれて、本当によく頑張ってくれたと思います。
この2年間、りおん中心で生きてきた私たち家族なので、もしかしたらりおんは家族の為に頑張って生きていてくれたのでは、と思っています。

 

りおんの姿は見えなくなってしまったけれど、私たち家族の胸にはこれからもずっとりおんが生き続けます。

 

ご購読ありがとうございました。

 

今回のお話「心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)と闘った愛犬りおん」の続き記事へ

 

 


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